新年度当初は登園をしぶったり泣いたりする子をよく見かけます。なぜ子どもはそうするのでしょうか?
新年度が始まってすぐは、新しい生活のペースや慣れない環境に不安や抵抗感を示して登園をしぶったり、保護者と離れるのを嫌がって別れ際にひどく泣いたりする子がいます。このような子どもは、新入園児だけでなく進級児にもいます。
また、これには個人差があり、まったく泣かずに平気な子もいれば、新年度開始から一ヶ月ぐらい経ってからグズりだす子や、一学期中ずっと泣き続ける子もいます。
これは、子どもたちが新しい生活パターンの見通し【家を出る→幼稚園で過ごす→家に帰る】をまだ持てていないからです。
新入園児は、毎日規則正しい生活パターンを繰り返し、段々と自分自身でも見通しが持てるようになると落ち着いてきます。しかし、それまでの間は何かと不安定な状態が続きます。
なぜなら、保護者との別れ際になると、毎回「今度おうちの人に会えるのはいつなの?」という不安が湧き出すからです。
大人にとっても生活の見通しが立たないというのは不安なことですから、子どもが泣いたりぐずったりしてそのような自分の思いを保護者に伝えようとするのは、ごく自然な行動です。
けれども、新しい生活パターンが浸透していくにつれ、子どもたちは着実に安定感を増していきます。ですから、特に病気でない限り過度のご心配はなさらず、保護者の皆さまも頑張って、子どもたちを園に送り出してください。
子どもが嫌がるからといって簡単に保護者が折れて休ませてしまいますと、それは逆に「泣いてグズれば幼稚園に行かなくてもいい(おうちの人と離れなくてもいい)」というパターンを学ぶきっかけになることがあります。十分にお気をつけください。
園生活のパターンや環境へ早く慣れるには、どうすればよいのでしょうか?
「早く」というのはプレッシャーになりますので、あまり強く望まない方がよいでしょう。 必要なのは**「時間」と「子どもの力を信じて我慢強く見守ってあげる周囲の大人の心」**です。
例えば、別れ際にひどく泣く子は、保護者の姿が見えている限りは保護者に頼ろうとし、その気を引こうとして泣き続けます。それは、保護者との間にしっかりと強い信頼(愛情)関係が築かれている証拠です。
ですが、保護者が見えなくなると、その子なりに自分の力で周りの環境へ適応しようとし、徐々に泣き止んでいきます。泣き止んで周りを見渡すと、自分の興味を持った物や人とかかわろうとします。保護者との間で信頼(愛情)関係を築いてきたのと同じように、今度は自分自身の力で、園にいる保育者や友達とも関係を築こうとし始めるのです。
ゆっくりと園にいる保育者や友達との関係が築かれていき、生活の見通しを持てるようになってくると、安心感が芽生えて安定してきます。ここまでくると、泣かずに「いってきまーす!」ができるようになります。
新年度当初は子どもたちが慣れるまで、保護者の皆さまも大変ご心配かと思います。しかし、子どもたちは徐々に、そして着実に、園の生活や環境に慣れ親しんでいきます。時間はかかるかもしれませんが、我が子の育つ力を信じ、我慢強く見守ってあげてください。
徒歩通園児の送迎時、保護者の皆様にご協力いただきたいこと
毎年の新年度当初、新しいクラスの様子が気になる徒歩通園児の保護者が保育室の前に立ち並び、じっと中の様子を覗き込み続けている様子を見かけます。
この状況は子どもたちにとって良くありません。いつまでも保護者の姿が子どもの視界に入ってきてしまい、別れ際のつらさをずっと引きずり続けることになります。すると、「もっと泣けば、中に入って来て家に連れて帰ってくれるかもしれない」などと期待し、さらに泣きたくなってしまいます。どうぞ、1分程度で素早く立ち去ってあげるようにしてください。
特に新入園のバス通園児の中には、「ぼくのお父さん・お母さんもどこかにいるかも?」と思い、保育室から飛び出して探しに行こうとする子や、保護者を思い出して泣く子がでてきてしまい、なかなかクラス全体が安定できません。
子どもたちの力を信じ、**登園したらすみやかにお帰りいただく方が、子どもたちの自立を促し、クラス全体の安定感を生むことにつながります。**徒歩通園の方には、特にご協力をお願いします。
送り出す時も迎えにいく時も、我が子がいつも泣いていて心配になります…
登園時に泣いていた子が、園では落ち着いて過ごしていたのに、お迎えの際に保護者の姿が見えると再び泣き出してしまうことがあります。
これは「今度おうちの人に会えるのはいつ?」という不安を抱えながらも、一生懸命に園生活に適応しようと頑張っていたので、保護者の顔を見たらホッと気がゆるんで泣きだしてしまうのですね。
ご心配な時は、どうぞ園での様子を担任へお尋ねください。新年度当初は一日中泣いていることがあったとしても、徐々に落ち着いていきます。そして、お子様が頑張って幼稚園に行けたことをたくさん褒め、「明日も幼稚園頑張ってね!」と励ましてあげてください。
せっかく朝は泣かなくなってきていたのに、長い休みの後はまた…
土日の休みを挟んだ週明けの月曜日やゴールデンウイークなどの連休明けも、家を出る時や別れる時に泣き出す子が多いものです。家にいた時間が長いことによる影響なので、これも自然なことです。5月中旬になり、ようやく泣くのがおさまったとしても、夏休み明けにはまた泣いてしまうかもしれません。
子どもにとっては、それだけ、家がとても居心地のよいオアシスなのでしょう。そんな家庭をつくることができている自分を褒めると同時に、**「子どもは、長い休みの後はグズって泣きやすくなるもの」**と思っておいてください。
やってはいけない、子どもを不安にさせる離れ際の保護者の行動
① いつまでも立ち去らない
前述の通り、保護者の姿が見えている限り子どもは泣き続けます。1分程度で素早く立ち去りましょう。
② 子どもに気づかれないように立ち去ってしまう
子どもがおもちゃやお友達に気をとられている隙に姿を消す方が、保護者の気持ちとしてはストレスが少ないものです。しかし、子ども目線からすると、これは「一瞬よそ見をしていたら、おうちの人が消えてしまった」という恐怖体験になるのです。翌日は保護者を凝視して、ますます離れ難くなることでしょう。
子どもは”ギャン泣き”していても、頭では理解しています。子どもをだますような去り方はせず、**「これからお仕事に行くんだよ。○○ちゃんは、夕方までここで楽しく遊んでいてね。△時にはお迎えに来るからね」**などと、きちんとお別れをしてあげましょう。
③ 泣いていることを怒る
泣く子どもに「いつまで泣いているの! 弱虫ね!」「甘えてばかりいてはダメ!」などと怒ってはいけません。こんなときは**「ああ、悲しいね、泣きたいね。いくらでも泣いていいんだよ。」**と子どもの気持ちを代弁し、共感してあげましょう。
子どもも、泣きたいだけ泣くことができたら、その後は気持ちの整理ができ、案外ケロッとしています。
泣いたり嫌がったりする我が子を送り出す際には、我が身を切られるようなつらさを感じられる方もいらっしゃるでしょう。
それは、「母子分離」という行いが、子どもにとってだけの自立の機会ではなく、母として(父として)子どもを信じる力を得るための、「親が親になる」成長の機会でもあるからです。
保護者が不安がっていると、子どもは余計に不安になってしまいます。たとえ努力してでも、我が子の力と園のことを信じてください。
子どもたちには、**「あなたなら大丈夫。だって私の子だもの。今日も頑張っていってらっしゃい!」**と声をかけて、笑顔で毎朝送り出してあげましょう。保護者に信じてもらえること、それこそが子どもたちにとって一番の自信のもとです。
登園時の接し方に気をつけて、親も子もお互いに上手に「バイバイ」できるようにしていきましょう。
