神戸市西区の認定こども園 いぶき幼稚園

クラスだより

幼児にとっての「遊びのルール」とは?

2026年4月8日

先日、ある会合で「ルールのある遊び」という言葉が話題にあがりました。そこでふと「幼児は、どういう成長過程を経て、遊びのルールの必要性を感じたり守ろうとしたりするようになるの?」という疑問が浮かびました。その疑問をリーダーの先生方にぶつけたところ、自分たちの様々な経験に基づいたお話をしながら、私の疑問に答えてくれました。

「あぁ、ええ話やなぁ…。残しておきたいな。」と思ったので、リーダーの先生がしてくれた話を下記のように簡単にまとめてみました。また、本文について教育学者である無藤隆先生からコメントを頂戴したので、合わせて記載します。

ルールは「好きな人と楽しく遊びたい」から生まれる

幼児にとってのルールとは、「正しいから守るもの」ではなく、

一緒に遊ぶ人が好きだから、仲良く過ごしたくて守ろうとするもの

特に5歳頃までは、「善悪」といった抽象的な概念の理解はまだ発展途中。
子どもたちは遊びの中で、人との関わりを通して少しずつ社会性を身につけていきます。

3歳児にとっての遊びのルール

西村ひかり先生・丸尾先生談

  • 遊びのルールは、言葉で理解するのではなく、気分と身体で感じるもの
  • 正確なルールはまだ覚えきれないけれど、周りの様子を見て、なんとなくノリで合わせたりする
  • 遊びの中で自分が周囲から注目されたり、自分の気分が良ければそれでOK!逆に、自分の気分が悪くなれば、そのルールは「イヤ!」と身体表現で拒否の意思を示すことも…。
  • 保育者が個々の思いを受けとめ、仲介していくことにより、「ルールのある遊び」で友だちと一緒に楽しく遊ぶ経験を積み重ね、遊びを通してルールの存在を知る。

4歳児にとっての遊びのルール

西村かすみ先生・井上あさみ先生談

  • 「オレが一番!オレはイケてる!オレが勝つためのルール!!」自分で考えたオリジナルのルールが登場する。
  • そして、自分が負けそうになったら、急にルールの変更が行われたり…。
  • 誰かと「仲良く一緒に遊ぶ」とかは、まだあまり考えていないこともある。
  • だから、イヤな思いをする友だちが出てくる。
  • 自分オリジナルのルールによって友だちとトラブルが起こったことをきっかけに、保育者が「それでいいのかな?」と問いかけたり友だちと話し合ったりすることにより、他者の思いに気づいたり配慮したりする必要性に気づいていく。

5歳児にとっての遊びのルール

北浦先生・井上あさみ先生談

  • 規範意識(お手本をなぞる、型の感覚)が芽生えてくる
  • 「ルールはみんなが守るべきもの!守らない人は×!」という理解の仕方をする。
  •  自分が正しいと思うルールを友だちに押しつけるような言動(言い方がキツい!)をする子が出てくる。
  • 保育者や友だちと一緒に、「なぜ、そのルールが必要なの?」「なんのために、そういうルールがあるの?」ということを考える機会を持つことにより、単に「ルールという型をなぞる」のではなく、ルールの必要性や意味を理解するようになっていく。
  • 覚えたルールを適用する場面について、自分自身の中に判断基準を築いていく。

無藤隆先生からのコメント

幼稚園教育要領改訂時に、「規範意識の芽生え」ということを考えるあたりで、委員から出てきたのが、まさにこういうお話ですね。ルールにもいろいろなタイプがあると分かっていくことが、幼児期(から学童期)には重要でしょうね。

各種の研究で、道徳的ルール(人を叩いてはいけない)と習慣的ルール(交通ルールや服装)の違いが、4・5歳で分かってくるということが知られています。さらに遊びの中でルール(約束事)を作るなどは、ごっこ・見立てを一貫させるなどの場面で、4・5歳のかなり早期に出てきます。

「ルールがあってこそ遊びが面白い」という感じが分かるのも、おそらく4歳以降でしょう。(トランプなどで大人がわざと負けるのは嫌だけれど、でも勝ちたいので、ルールを自分に有利にするみたいなことから、次第にルールの中で競い合う。この競い合いは協力ということの中で可能になる)。

ルールにはその目的があって、その下で柔軟に変えられ、さらに分担があって、ルールを通じて皆が楽しくなることが分かるあたり。これが、5歳から学童期に掛けてかなと思います。(サッカーのアシストができるみたいなことは、結構難しいが)。

こういった発達には「仲間集団の形成」に関する保育に、もっと学ぶべき点があると思います。

白梅学園大学大学院 名誉教授。内閣府子ども・子育て会議委員。文部科学省中央教育審議会・初等中等教育分科会教育課程部会会長。平成30年度の幼稚園教育要領・保育所保育指針・認定こども園教育保育要領の改訂ならびに小学校学習指導要領改訂のトップ。

無藤先生のコメントを受けて

幼児が遊びのルールの必要性を感じたり守ろうとしたりするためには、やはり保育者や友だちという「集団の中での育ち」が重要なのだと確認できました。そして、「ルールを覚えるのが先か、関係性が先か」という点では、やはり関係性が先なのですね。

「ルールを覚えさせるだけ・守らせるだけ」という表面的な保育におちいらないよう、社会性(人間関係)の育ちの一環として捉えておくことが肝要ですね。

神戸市西区の認定こども園 いぶき幼稚園